ペルソナの作り方とセグメンテーション

今回はペルソナ作成についての話です。ただし、セグメンテーションやIDEOのプロトタイピングの話も出てきます。


リサーチ会社の皆さんは、クライアントさんから「ペルソナを作りたいのだけど、どのような調査をしたらよいか提案して」、といった相談を受けたことのある方も多いのではないでしょうか。そんな時、皆さんはどのようなプロポーザルを提出するでしょうか?ご存知のようにペルソナ作成に定性調査はとても重要や役割を果たします。そこに定量調査を組み合わせるといった提案になってくるケースが多いかと思うのですが、この定量調査と定性調査をどのように組み合わせていけばよいのでしょうか。今回はペルソナ作成のための調査アプローチについて考えてみました。

なぜペルソナを作るのか

最近、UX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉をよく耳にするようになりました。それに伴い、ペルソナ作成の重要性、有効性について語られることが多くなってきているように思いますが皆さんはそのような印象はお持ちではないでしょうか。


このメルマガをお読み頂いている皆さんはペルソナとは何かということは、よくご存じだと思いますので、その説明は省略しますが、そもそも、なぜペルソナを作ることが製品やサービスのデザインやマーケティング施策を考える上で有効なのかは少しおさらいをしておきたいと思います。


ペルソナがなぜ有効なのか、巷では様々な理由が語られていますが、個人的には、「顔のある犠牲者効果(identifiable victim effect )」というものを理解することが一番大事なのではないかと思っています。


顔のある犠牲者効果(identifiable victim effect)はWikipedia(英語版)で以下のように説明されています。


「顔のある犠牲者効果(identifiable victim effect)とは、人間は、困難な状況にある具体的な(顔の見える)個人に対して、同じ状況にある大規模だがあいまいな(顔の見えない)グループよりも、より援助を与えようとする傾向があるという効果である。
(中略)
ビビッドでなまなましい顔のある犠牲者は、抽象的な統計の数字より人を説得する力がある。例えば13歳でHIVに感染して、6年間病気と勇敢に戦い続け、6年後に死亡したライアン・ホワイトのストーリーは、彼の死後、米国議会がライアン・ホワイト・ケア法という法案を作り、米国でAIDSに感染した人のための基金をつくるきっかけとなった。ライアンの6年間の感動的で立派な物語が、どのような統計数字よりも人の心を動かしたのは明らかである。なお、この効果を表すために、よく次のようなフレーズが例にだされる・・・


「一人の死は悲劇である。100万人の死は統計である」。


前回のコラムで、「顧客の立場に立つ」ことの重要性、そしてそのための「共感」(顧客の喜怒哀楽の感情の共有)の重要性を書かせていただきましたが、まさにペルソナは顧客に共感するための手段だともいえるのではないでしょうか。


ペルソナをつくることの有効性について、もうひとつ付け加えさせていただきます。


例えば、あなたが某飲食チェーンのマーケティングを担当していて、新しい店舗コンセプトの開発を任されたとします。

ターゲットは、

+ 30-40代の都心で働く共働き女性
+ 子供ないない
+ 世帯年収は700-1000万

というネットリサーチの結果にあるような情報から店舗コンセプトを作れと言われるのと、


名前: 秋野つゆ (写真あり)
年齢: 37歳 
職業: 都心で働くキャリアウーマン
特徴:
+ 独身か共働きで経済的に余裕あり
+ すっぴんだけど美人。
+ 装飾より機能を重視し、流行りは意識しないのにセンスがいい。
+ 個性的でこだわりがある
+ 社交的だが自分の時間を大切にする
+ 人生を楽しみたい
+ フォアグラよりレバ焼きを好み、プールに行けばいきなりクロールを泳ぐタイプ。


といったペルソナから店舗コンセプトを作れと言われるのでは、あなたは、どちらが新しい発想が生まれ、よいコンセプトを作れそうでしょうか。言うまでもなく後者だと思います。このようなペルソナに基づいて新店舗コンセプトを考えると、あなたはよりターゲットユーザーのイメージがわき、今考えているコンセプトの店に、「秋野さんなら来てくれるかな、来て満足してくれるかな」といった視点で物事が考えられるのではないかと思います。


ちなみに、ご存じの方も多いと思いますが、この秋野つゆさんは、皆さんお馴染みの「Soup Stock Tokyo」の開発に利用されたペルソナです(実際はもっと詳細なペルソナ記述があります)。ペルソナの活用例としてとても有名な話なので、ご存知なかった方は以のサイトが参考になるのでお読みいただければと思います。

http://ikigoto.com/digitalmarketing/blog/post-6/


さて、このようにマーケティング戦略を立案するためにとても有効なペルソナですが、実際問題として、どのように作ればよいのでしょうか。もちろん、何もデータに基づかずに、思い付きだけで作ってしまうと、実際に存在する顧客とかけ離れたペルソナになってしまう可能性が大きいのでそれは避けるべきです。そこで必要になってくるのがリサーチなのですが、ペルソナ作成のためにはどのようにリサーチを進めていけばよいのでしょうか。

ペルソナ作成のための調査アプローチ・・・セグメンテーションについて考える

最初にお断りです。先にも書きましたようにペルソナを作る際には定性調査が重要な役割を果たします。ただ、今回はペルソナ作成のための定性調査の手法やテクニックでの話ではなく、ペルソナ作成のために定量と定性をどのように組み合わせていくべきかということを主眼に書かせていただきます。

さて冒頭の質問に戻りますが、リサーチ会社の皆さんはクライアントさんから、「今度、ペルソナを作りたいのだけど・・・」と相談を受けたらどのようなリサーチ提案をするでしょうか?たぶん、
 

  1. まず定量調査を実施・・・ライフスタイル項目等のアトリビュートを利用したクラスター分析で(サイコグラフィック)セグメンテーションを作成
  2. 1で出来上がったセグメントの中でターゲットセグメントを決め、そこに属する人に対してデプスインタビューや行動観察といった定性調査を実施


といった提案をする方が多いのではないでしょうか。多くのリサーチの教科書にはこのように書かれていますし、私も昔そのように習った記憶があります。また実際にこのような提案を行いプロジェクトを実施したこともあります。

では、なぜ、最初に定量調査によるセグメンテーションを行うとされているのでしょうか。これは現代マーケティングの大家であるコトラーが唱えた、STP(Segmentation、Targeting, Positioning)という手法/理論が元になっていることは間違いないでしょう。コトラーはマーケティングにおいて最初にすべきことはセグメンテーションだと唱えています。このセグメンテーションを実行した上で、自社や自社の製品にふさわしいターゲットを選び出し(ターゲティング)、製品のポジションを決定すべし(ポジショニング)と説いています。

そこで、まず定量調査を行い市場のセグメンテーションを行いましょうという話になってくるのですが、実際にこのようなアプローチをされた経験のある方は上手く行きましたでしょうか?ライフスタイル項目等のアトリビュートを利用したセグメンテーションでは因子分析やクラスター分析といった多変量解析を使うので何となくスゴい分析をしている気分になります。また「最先端トレンド重視派」、「価格重視派」、「健康志向派」みたいに、それっぽいセグメントが出来て、リサーチ結果の報告書を書いたりプレゼンテーションしたりする際には、カッコよく見えるのですが(笑)、よくよく見ると各セグメント間で、対象カテゴリーの使用率やブランドの使用率にほとんど差がなかったり、解釈ができないセグメントが出来たりで、実際には実用的ではない(使えない)セグメンテーションの結果に陥ることが多々あるのではないでしょうか。

そもそも、なんでもかんでもライフスタイル(サイコグラフィック)という切り口でセグメンテーションを行えばよいというものではないかと思います。もちろんセグメンテーションの切り口の一つとしてサイコグラフィックが有効な場合もありますが、時には、デモグラフィック、ユーザー/ノンユーザー等々のシンプルな切り口でセグメンテーションを行う方が有益な場合も多々あるかと思います。また、新しいセグメンテーションの切り口を見つけり、セグメンテーションをし直すことによって、画期的な新製品が生まれたり、既存製品が再活性化するといったケースも多々あります。なので、最初から切り口を決めたセグメンテーションの調査ありきはおかしいのではないでしょうか。

また、最初にセグメンテーションをすべきというコトラーの主張(=マーケティングの常識)も、場合によっては本当にそれが正しいことなのかどうかを考える必要があります。

例えば数年前に流行ったブルー・オ―ション戦略はセグメンテーションという考えを否定することから始まります。

「潜在需要を開拓するには、顧客よりもまず顧客以外の層に、相違点よりは共通点に注目してはどうだろう。セグメンテーションに躍起になるのではなく、むしろ脱セグメンテーションをめざすとよいのだ。」
(W・チャン・キム+レネ・モボルニュ 「ブルー・オーシャン戦略」より)

また、最近好調のマツダさんが製品開発についてセグメンテーションをしていないといった事例も参考になります。

(快走マツダ、その異質な経営 「事業目標・市場分析なし」は本当?市場の2%のみを対象:水野誠/明治大学商学部教授)
http://biz-journal.jp/2015/08/post_11128.html


以上、これらのことを考えるとペルソナを作る際に何でもかんでも定量調査(セグメンテーション)からスタートするというのは考え直した方がよさそうに思います。むしろ、ユーザー、ノンユーザー、男女や年齢区分等の括りでのデプスインタビューや行動観察調査からスタートした方がよいのではないでしょうか。

ただ、一方で、ビジネス上の意思決定を行うために定量的なデータが必要であるという事も決して忘れてはいけません。定性調査だけでペルソナを作ったとして、もしそのペルソナがとてもニッチなセグメントに属する人であったとしたら、そしてそのペルソナに基づきマーケティング戦略を組み立てたとしたらその結果は悲惨なものにあるであろうことは目に見えています。では、どうすればよいのでしょうか・・・

IDEOのペルソナ活用法・・・Hybrid Insight

では、定性調査のみから作成したペルソナを、ビジネス上の意思決定に堪えうるよう信頼して活用するためにはどうすればよいのでしょうか。何らかの定量調査で、逆にペルソナの規模を推定すればいのでしょうか?

これには世界で最もイノベーティブな企業の一つと言われているIDEO社が実施しているHybrid Insightというアプローチが参考になりますので紹介させていただきます。

※ 以下はIDEO社Johannes Seemann氏の「Hybrid Insights: Where the Quantitative Meets the Qualitative」という記事からポイントを抜粋させていただいております。面白い事例も載っているのでご興味のある方はぜひ原文をお読みください。

(原文はこちら)
http://www.ideo.com/images/uploads/news/pdfs/pp_56-61_HybridInsights_RotFall12_spreads.pdf


Hybrid Insightとは・・・

「定量調査手法はメリットがあるが、しばしばデザインのためのインサイトに欠け、そこから新しいものを開発するインスピレーションを得ることが出来ない。一方、定性調査手法は人間中心設計のデザイナーに不可欠なインスピレーションを与えてくれるが、その定性調査で明らかにされたインサイトは、そこに市場の代表性があるという数字的根拠がなければ薄っぺらなものになってしまう。そこで我々が実施しているのは「Hybrid Insight」という定性調査に基づくデザインサイクルを定量調査で補完するアプローチである。」

そして、通常のセグメンテーションとペルソナの関係については・・・

「我々のデザイナーが新製品開発に臨むとき、しばしば従来のマーケティングリサーチから得られるセグメンテーションデーターと、そこから作られるターゲット像(ペルソナ)を与えられる。例えば、このようなものだ・・・『Joe、肉体労働系の仕事に従事、大手パソコンのブランドを好む平均的なパソコンユーザー、このセグメントの65%は男性』。このようなデータを与えられると、我々のイノベーティブなデザイナーはこう思うってしまう・・・『Joeの残りの35%は何なんだ!』」

「人間中心デザインは、『定量データによってつくられた人造人間』ではなくリアルな人間のニーズを解決することも目的としている。だから、まずは定性調査によってリアルな人間に存在するニーズや行動を理解し、それに対するクリエーティブな解決策を創造することから始めるべきだ」

と述べています。そして、以下のような調査アプローチの流れを紹介しています。


1. Inspire: (インスパイア)

フィールド調査、観察、インタビュー、その他の定性手法を用いて、潜在的な、または新しい消費者ニーズ、定性的に定義される行動特性、デザインインサイト等を見つける


2. Explore: (探索)

このステージにおいてはInspireステージにおける発見されたニーズ、インサイト、行動特性に基づき、開発チームは様々な新製品のコンセプトを作成する。そして、定量調査を実施し、これらのコンセプトに対する反応を探ることによって、行動特性をセグメント化する。また、各セグメントのバリデーション(規模の測定)も同時に行う。


3. Prioritize: (優先順位付け)

様々な分析を経て、最も適切なバリュープロポジションを決定する。また、そのプロポジションを表現する製品デザインのプロトタイプを作成し、その有効性の検証を繰り返し行い、製品コンセプトを洗練させていく。


4. Evaluate: (評価)
このステージにおいて、その製品やサービスのポジショニングの最終決定を行う。このデザインが最もアピールするのは誰か、最もアピールするマーケティングメッセージは何かを確認する。


※ 上記4つのステージはHybrid Insightの典型的なアプローチであるが、プロジェクトによっては多少異なる場合もある。重要なことは、人間のストーリーを定量的な数字と結びつけることである。そうすることによって、製品/サービスデザインを設計するために必要なインサイトと、ビジネス意思決定に必要な定量情報を同時に得ることができる


ちょっとぼやかして書いてあるので、どのような調査を行っているのか具体的にはわかりにくいかもしれませんが、要するに「定性調査でペルソナを作る⇒ペルソナが欲すると思われる様々なコンセプトを作る⇒様々なコンセプトを定量調査にかけ、優先順位をつける。同時に各コンセプトに対する反応に基づいてセグメントサイズを推定し、ビジネスに見合うかどうかを検証する」ということを試みているようです。つまり従来の、「定量調査によるセグメンテーション→定性調査によるペルソナの作成」というアプローチとは定量と定性の順番が全く逆のアプローチを行っているようです。

ただ、これを読んで、「この定性⇒定量というアプローチはリサーチの教科書によく書いてあるグルイン/デプスやって仮説をだして、定量で検証するというアプローチと何が違うの?」と思う人が居ると思います。IDEOが違うのはここにプロトタイピングという概念を持ち込んでいることです。

今回のまとめとプロトタイピングについての補足

ちょっと話があっちこっちに飛んでわかりにくかったかもしれませので(苦笑)、以下に今回のポイントをまとめさせていただきます。
 

  1. ペルソナは数値データでは得られないターゲットへの共感が得られる手法。まさにお客様の立場に立って考えることができる方法であり、新商品開発、広告コミュニケーション開発等に有効なアプローチである。

     
  2. ペルソナはビジネス上の意思決定に使えるものでなければ意味はない。なので、そこには定量的な裏付けデータが付随していることが重要である。
     
  3. だからといって、ペルソナ作成の調査において最初に定量調査によるセグメンテーションからスタートすべきという考え方は疑問。セグメンテーションの切り口は様々であり、また新しいセグメントを見つけることが画期的な新製品につながることもある。また、場合によってはセグメンテーションをしないほうがよいという考え方もある。
     
  4. むしろ、まず定性調査からペルソナを作り、そのペルソナから新製品コンセプトを作成して、そのボリュームを定量的に検証した方がよいのではなかろうか。IDEOは、このようなアプローチをHybrid Insightと名付けている。

    ※ なお、定量的に検証すべきはペルソナそのものの市場規模ではなく、ペルソナから作成されたコンセプトの市場規模が測定されるべきである。なぜならコンセプトによっては多くのセグメントを横断的に受け入れられるものあり、むしろそのようなコンセプトが発見出来れば、その製品は大ヒットになりやすいからである。
     
  5. コンセプトの定量的な検証の際にはプロトタイピングが重要。イノベーティブなコンセプトの新製品/新サービスは、出来るだけ最終形の製品やサービスに近い形で、また生活コンテクスト内で使ってもらわなければテスト参加者(調査対象者)の理解を得ることはできない。



まとめは以上なのですが、IDEOのプロトタイピングについて補足させていただきます。

最近、ポメラに代表されるユニークな商品を多数開発しているキングジムさんが、このような主張をされているという記事を目にしました。

「世の中にないものを創造するとき、市場調査で欲しいかどうか聞いてもわかるはずがありません」

「そんなこと(市場調査)をする時間と金があったら早く作って発売したほうがいい」

http://news.mynavi.jp/articles/2012/09/25/kingjim/


この主張にも一理あると思いますが、プロトタイピングという考え方を知れば、このような考え方も変わるのではないでしょうか。

キングジムさんの主張は現在リサーチ業界で行われているコンセプト・テストにたいする批判のように受け取れます。我々リサーチ業界で行われるコンセプト・テストの多くは、「パソコンやスマホの画面上に表示された文章を次々読んで、5段階スケールのチェックボックスのどこかにチェックを入れる」といったようなことです。
これは、対象者に「製品化された時に自分がどのように使うか、そして使いたいかを想像して答えてね!」という期待をしている訳ですが、それはどう考えても、特にIDEOが言うようにとても画期的なコンセプトであればあるほど、難しい要求なのではないでしょうか。キングジムさんの「世の中にないものを創造するとき、市場調査で欲しいかどうか聞いてもわかるはずがありません」という主張とIDEOの「画期的なコンセプトが調査でテストされると、人々の想像が及ばないために、既存の馴染のあるコンセプトよりも低いスコアになってしまいがちである」という主張は同じことが言いたいのだと思います。

では、新製品コンセプトをテストするときはどうすべきなのでしょう。それは出来るだけ対象者の想像力に頼る部分を少なくすることが大事なのだと思います。そのためには、出来るだけテストするコンセプトを最終的に市場にでる製品/サービスの形(実際に利用してもらう形)に近づけて評価してもらうべきでしょう。そして、これを突き詰めると、「そんなことをする時間と金があったら早く作って発売したほうがいい(=市場でテストする)」という発想になってくるのだと思います。ただし、(カテゴリー特性にもよりますが)製品として市場に出してしまったら、失敗したときに大きなダメージを受けることも間違いありません。そこで有効になってくるのがプロトタイピングなのだと思います。

プロトタイプを作り、実際の生活の中でリサーチ参加者(対象者)に利用してもらうことにより、対象者の想像力に頼る部分を出来るだけ最小化する・・・そこから得られる評価は、紙に書かれた文章に対する評価よりも、その製品/サービスを今後も使いたいかという信頼たる指標になるというのがIDEOの最大の主張なのだと思います。要するにIDEOはプロトタイピングによって、「とりあえず製品化して出してしまう(=市場でテストする)」という究極の発想と、現在の(定量、定性問わず)リサーチで主流のテキストベースでのコンセプト・テストのギャップを埋めようとしているのではないでしょうか。そして、最近、我がリサーチ業界でもこの重要性に気付いてきたからこそ、「デザイン思考」という言葉が流行ったり、IDEO社の会社の在り方や開発手法に注目が集まったりしているのではないかと思います。

以上、今回はペルソナ作成のための調査のアプローチに関して書かせていただきました。もちろん、何が絶対的に正しくて、何が間違っているという訳ではありません。商品カテゴリーや、クライアントさんの置かれている状況によってリサーチ提案は異なるでしょうし、また調査会社がIDEOのようにサクっとプロトタイピングができるかどうかという問題もあります。加えて、調査にかけられる予算がどれだけあるかによって、どのようなアプローチが適切なのかも異なってきます(実はこれが最も重要だったりして(笑))。なので、ペルソナ作成には定性調査からスタートすべしというのが絶対だというつもりもないのですが、このような考え方もありますよということで、今回の記事が今後の皆様がペルソナ作成のための調査提案をする際の何らかの参考になれば幸いだと思っております。