今回はMROCについて書いてみたいと思います。ご存じのようにMROCは、調査業界におけるホットなトピックであり、日本でも多くの調査会社(および調査会社以外も)が取り組みを始めています。
正直、私はMROCにそれほど造詣が深いわけではなく、様々な方が、様々なところで、そのメリットや難しさを提唱されておられます。なので、今さら私が書くのもどうかと思いましたが、私、数年前に、あるプロジェクトでMROCの本家本元である米国のCommunispace社のMROCを経験する機会がありました。米国では、急激に伸びているMROCですが、我が国ではイマイチぱっとしないMROC。日本と米国のMROCはどう違うのか、なぜ日本ではイマイチなのかを考える参考になるかもしれないと思い、今回は私のCommunispace社とのプロジェクト経験をシェアさせていただきます。
Communispace社とMROC活用事例
MROCが登場したのは2000年頃。米国の調査会社Communispace社が提供したリサーチコミュニティが始まりと言われているそうです。そして現在ではFortune 500のうち400社以上にMROCを提供しているとのこと。まさに、MROCの本家本元といった会社です。
なぜ、私の担当プロジェクトでCommunispaceを使うことになった経緯は後述しますが、Communispace社とMROCを実施するに当たり、最初にCommunispace社からMROCの成功事例を紹介してもらいました。その一つが、クラフト社のサウスビーチダイエット商品の開発事例です。以下に簡単に、紹介させていただきす。
MROC活用事例:サウスビーチダイエットの商品開発
2004年、クラフト社は“成功するダイエットについて消費者はどう考えているのか。また、そのためにどのような商品を求めているのかを理解するための効果的なインサイトマーケティングの実施を模索していた。商品開発コンセプトは、低炭水化物ダイエットとして人気が高いSouth Beach Diet :サウスビーチダイエットとのアライアンスと、ほぼ決めていたが、クラフト社は市場にあふれる他社のダイエット食品と同じラインの商品開発ではなく、消費者が本当に望んでいる新しいカテゴリーの商品開発を行うために“消費者の本音”を知る必要がある、と強く考えた。
さらに、人気が高いサウスビーチダイエットブランドとのライセンスによる商品開発においては自社商品の開発サイクルよりも早いペースで行う必要性があり、効率的に、かつ確実に売れる商品開発が求められた。そこで以前「ナビスコ100カロリースナックパック」の商品開発で成功したプライベート・オンライン・コミュニティによるインサイトマーケティングの実施を決定。プライベート・オンライン・コミュニティの開発運営会Communispace(コミュニスペース)社に、サウスビーチダイエットブランドの新商品開発を目的とする“ヘルス&ウェルネスコミュニティ”の開発と運営を依頼した。
フェーズ1:コミュニティメンバーを招待する
クラフト社のプライベート・オンライン・コミュニティに積極的に参加してくれるターゲット顧客をeメール広告で募集、応募者の中から300人をセレクトして招待する。300人中、半分の150人は減量希望者でサウスビーチダイエットのことを知っている女性。残りの150人は健康的な生活にこだわるオピニオンリーダー的存在の女性たち。コミュニティに参加してくれる女性たちはクラフト社のアドバイザー的な存在とし、彼女らのアイデアに企業は真摯な対応で応えることを目指した。
フェーズ2 :リレーションシップの構築
300人のコミュニティメンバーには週に一度、30分から1時間の時間をかけて企業が依頼する
- 食品棚や冷蔵庫、薬箱の写真をウェブにアップロード
- チャット又は意見交換への参加
- 個人のプロフィールや顔写真の公開
- アンケート回答
- ダイエットや健康のテーマに関する個人の経験談の公開
などに協力してもらった。
メンバーはクラフト社より10ドル(1000円)程度のギフト券とクラフト社の商品サンプル、そして“クラフト社に自由に意見する”機会を得た。クラフト社のマーケターもコミュニティをモニタリングしながら、積極的に意見交換やチャットに参加。メンバーの声に耳を傾けた。
フェーズ3 :消費者のインサイトを知る
コミュニティからわかったダイエットに関する消費者の重要なインサイト“A-ha・・・なるほど!”は2つ。
- 女性たちは1日を通じてダイエットプランに基づいた食事を心掛けても、結果は不規則な時間に食べたりで、正しい食事(食品)をとることができていない。
⇒朝から晩まで24時間を通して食べられる“正しい食品”があれば消費者はダイエットに成功する - 消費者は種類の違う多くのダイエットブランドとサウスビーチダイエットとの違いを正しく理解できず、困惑している。特に同じ低炭水化物ダイエットを唱えるアトキンズダイエット法との違いを正しく理解していなかった。
⇒新商品の発表を成功させるには“消費者にサウスビーチダイエットを正しく理解してもらうための教育”が最優先課題である。
フェーズ4:新商品開発と発表の準備
クラフト社はサウスビーチダイエット商品の開発段階で、これまでに前例のない“新商品発表前の広告キャンペーン”を実施した。キャンペーンの目的はサウスビーチダイエットを消費者に正しく理解してもらうための教育とこのダイエット法でダイエットを成功させるために消費者が必要とする食品がまもなく新発売されることを告げる、ことを目的としていた。
新商品のコンセプト、パッケージを含む商品開発の過程のすべてのフレーズにおいてもコミュニティメンバーの意見はいかされ、クラフト社とメンバーが共同タックルを組んで商品開発に取り組んだ。メンバーはテストマーケティングにも参加
フェーズ5:新商品発表
サウスビーチダイエット新商品の開発を目的にプライベートオンラインコミュニティが発足してから、わずか16ヵ月後、クラフト社のサウスビーチダイエットブランド食品(主菜とスナック)はスーパーマーケットで発売された。
フェーズ6:新商品の販売促進
サウスビーチダイエット新商品が発売後もコミュニティメンバーは引き続き販売促進についても積極的に意見を発し、クラフト社を手伝った。
⇒小売店でのリサーチ
- 商品は市場で手に入りやすいかどうか? 店舗で商品を見つけるのは難しくないか?
⇒食品の利便性
- サウスビーチダイエットを行うにあたって新商品の利便性。どのようなシーンでこの商品を食しているか? 例)シリアルバーはスナックであって、朝食ではない
⇒新たな商品の開発
- 1日を通じての食事メニューとして足りないカテゴリーは何か?
全米に発売が開始されてからの最初の6カ月間で、およそ1億ドル(約100億円)を売り上げたクラフト社のサウスビーチダイエット新商品。その後、ラインを拡大し冷凍ピザからクッキー、スナックバー、サラダドレッシングなどの商品が揃い、全部で49種類までになったそうです。尤も、このサウスビーチダイエット商品は、その後売上げが伸びず、今では一部の商品(スナックバー)を残して、撤退してしまったようですが・・・。
某日本製品の米国市場での販売拡大のためのヒントを得るプロジェクト
さて、前置きが長くなりましたが、私がCommunispace社のMROCのプロジェクトを経験したのは4年前(2009年)です。もちろんクライアント名や調査の詳細をこの場で明らかにすることは出来ないのですが、プロジェクトの目的としては、担当させていただいていたクライアントのある製品(食品・飲料カテゴリー)の米国市場での販売を拡大するためのヒントを得たいといったことが主目的でした。
ちなみに、クライアントの製品の米国での販売経験は長く、これまでにも、様々なインターネット調査やグループインタビューを実施してきました。そのようなところにあるコンサルタントが、今までの手法とは違う、このような手法(MROC)と会社(Communispace)があるという紹介をクライアントに行い、それではやってみようとなったのが実現した経緯です。
ちなみに、その当時、Communispace社はMROCという言葉は使っていませんでした。先方からのプロポーザルや報告書には「Access to proprietary community」と記載されています。今もCommunispace社には、MROCという言葉は(たぶんですが・・・見落としであればすいません)出てきません。ただ、皆さんMRCOという言葉のほうが、馴染み深いと思いますので、以下も引き続き、MROCというワードで話を進めさせていただきます。
3つの提案された手法
背景やこれまでの経緯をCommunispace社に説明して、また様々な議論を重ねて、最終的にCommunispace社から提案されたのは、以下の3つのプロジェクトを行い、そこからインサイトを抽出しようという提案でした。
① 食日記調査
Communispace社のパネルからスクリーニングを行い、その製品カテゴリーのユーザーとノンユーザーを計50名を抽出。その50名に対して1週間の日記調査を依頼。対象者には、朝/昼/晩の食事内容や利用素材、そのメニューにした理由等を記入してもらう。また、毎食の食卓を写真撮影してもらい日記に貼り付け。(1日分の記入に約20分程度必要)
この日記調査から米国家庭での食生活の実態を理解すると共に食品に対するニーズやインサイトを探ることを目的とするとのことでした。
ちなみの、たぶん今ではこのような日記調査はオンライン上で行うのでしょうが、この時は紙ベースの日記を対象者に送付していました。
② ディスカッション
男性、女性、若者の3つのグループで、オンライン上でのディスカッション(掲示板形式・・・2週間)。各グループには約150名を招待。ディスカッションを通して、当該製品カテゴリーに対するインサイトを探ることを目的とするとのこと。
このディスカッションは、①の日記調査に引き続いて実施しました。我々は日記調査に参加した50人でディスカッションを行ったほうがよいのではないか(発言者の背景情報がわかるので)と質問したのですが、先方は、ディスカッションはこれまでの経験から参加者が多い方がよりインサイトが得られるので、もっと人数を増やすべきだとの主張があり、各グループ150名で行うことになりました。
ちなみに、Commnispace社のホームページ見ると、コミュニティの最適なサイズは300-500人だと記載されています。これまでの経験上、対象者の参加意欲をコントロールしつつ、多様な意見を聞くためには、これ以上でも、これ以下でもよくないとのこと。我が国のMROCの場合、30人程度で実施するという提案が結構なされていますが、Commnispace社からすると、これは少なすぎるんじゃないの・・・といった考えているのではないでしょうか。
③ ビデオギャラリー
その製品カテゴリーの商品を利用して食事を作っている様子をビデオ撮影(15名)。一人あたりの撮影時間は10-20分程度。クライアントが、その製品カテゴリーの使用実態を、目で見て理解することを目的とするとのこと。
その他、インターネット調査(定量)や、チャットによるグルインも可能とのことで、提案を受けましたが、予算や時間の関係もあり、最終的には上記の3つのプロジェクトを実施することになりました。
もちろん、この3つはそれぞれ単独のものではなく、最終的には3つのプロジェクトを通して、米国人消費者の、その製品カテゴリーに対するCREAR INSIGHTを導き出す・・・という提案でした(企画・設計~実査~分析・報告書作成までのフルサービスでの提案です)。
さて、これらをフルサービス(企画・設計+3つ(50名の日記調査/3グループ(各150名)のディスカッション/15名のビデオ撮影)の実査+分析レポート)で実施して、最終見積もりがいくらだったと思いますか?この答えは、後程、明らかにさせていただきます。
アウトプット
アウトプットとして最終的に納品されたものは以下の4つです。
+ 食日記の原票(7日分、写真つき) x 50人分
+ ディスカッションの全発言をエクセルに落としたもの x 3グループ分
+ ビデオギャラリーで撮影された映像をDVDに落としたもの x 15名分
+ 報告書 (パワーポイントで33P、内Key Findings x 1P、 Recommendation x 1P)
<食日記>
50人x1週間の食日記の原票は、かなりのボリュームです。もちろん英語なので、見るのに苦労しましたが、写真が豊富についていたので、それを見ているだけでも米国人の食生活の実態が理解できた気がします。
ただ、日記の記入に関するクオリティ管理に関しては日本の調査会社と比べるとかなり適当な感じがしました。どうみても、いい加減に記入しているとしか思えなく、日本では無効票にするレベルのものが多数ありました。これをそのままクライアントに納品するのはマズいと思い、先方に「票を取り直してくれ」と、かなりかけあったのですが、向こうは、「これで問題ない、出来ない、取り直しするなら、追加費用が必要」の1点張り。最終的には妥協点を見つけたのですが、かなり日本とは品質管理の感覚が違うと感じました。
<ディスカッション>
ディスカッションに関しては、日本でもリアルタイムで見ることが出来、いろいろと追加質問等ができる仕組みになっていました。ただ、もちろん英語のディスカッションで時差の関係もあったので、結局、ほとんど追加質問はせずじまいでしたが・・・
なお、3グループを同時並行で実施していたのですが、そこにアサインされていたファシリテーターは3名。ただ、1名が1グループを担当するというわけではなく、時間帯ごとに1名が3グループを同時にファシリテートするといった体制でした(といって、24時間張り付いているわけでもなさそうでしたが・・・)。期間中、1日あたりの掲示板への投稿は平均、約40で、150名の参加者ほぼ全員が3日に1回くらいのペースで投稿していたようです。
ディスカッションの流れを見ていると、ファシリテーターが質問して、我々もその答えを聞きたいと思っているときに、まったく違う話になってしまったりで、やはりファシリテーターも大変そうでした。どちらかというと、これはディスカッションというよりも、大量の自由回答を集める手段と考えた方がよいのかもと思いました。
<ビデオギャラリー>
これも、米国人の食生活、調理実態が生ナマしく理解でき、非常に有益なアウトプットでした。感じたのは、アメリカ人はみんなビデオ撮影が上手いということ。登場してくれた皆さんが、全員カメラ目線で「こんにちは。私の名前はSuzan。今日は、皆さんに●●をつかったとっても素晴らしいレシピを紹介するわ。夫も、子供も大好きなの!」
みたいな感じで解説付きで撮影してくれているのです(ZipのMOCO’Sキッチンの清水もこみちのように)。彼らは、自己表現力に長けている人々で、日本人の対象者には、ここまで期待出来ないだろうな~と感じました。
<報告書>
最後に頂いた報告書は、私たちが作ったとしてもこんな感じだろうな・・・というものでした。ただ、前述しましたが、この製品に関しては、これまでも数多くのインターネット調査やグループインタビューを実施していました。
そしてこのMROCで、今までに得ていた知見以上の新しい発見(insight)が得られたかというと、残念ながらそうとは言い難いと思いました。
雑感
最後に、Commnispace社のMROCを経験してみての感想をランダムに書かせていただきたいと思います。
結構(というか、かなり?)リーズナブル
ここまで書いてきたように50名の日記調査&3グループ(各150名)のディスカッション&15名のビデオ撮影をフルサービス(設計・企画&分析レポート付)で実施して謝礼を含む総額費用は約32、000ドル(当時のレートで約290万円)でした。
この金額って、日本の感覚からするとかなりリーズナブルではないでしょうか(日本でこれだけの調査をするといくらくらになるのでしょう?調査会社の方は見積もっていただければと思います)。
米国のインターネット調査の相場は、日本の1.5~2倍だと言われています。これを考えると、米国企業にとっては、Communispaceのサービスってかなりお値打ちなのではないでしょうか。日本ではMROCって費用が、かなりかかるというイメージがありますが、もしかしたら米国では、かなりお得な調査だと認識されているのではないかと思いました。そして、実は、この点が、日本と米国のMROCの普及スピードの違いに大きく影響しているのではないかと思ったりしています。(もちろん、この1例だけで、すべてを語るのは危険なので、米国の事情をご存じの方は、教えてもらえると嬉しいです。)
ちなみに、総額費用の内、日記調査の謝礼は一人当たり75ドル(約7000円)、ビデオギャラリーの謝礼は一人当たり15ドル(約1500円)で、総謝礼額は4,200ドル。謝礼を除くプロジェクト総費用は約28,000ドル(約250万円)でした。ディスカッションの謝礼費としては何もチャージされませんでした。ディスカッションの参加者には、プロジェクト単位ではなく、別の単位で謝礼が支払われる仕組みになっているようです。また、これは推測ですが、ディスカッション参加者の謝礼額はかなり抑えられているような気がしました。
質より量を重視
CommunispaceのMROCに対する取り組み姿勢は、30人のモニターをガチガチに管理してインサイトを引き出すよりも、多少質の悪いサンプルが混ざっていても、300人のモニターの方が、(その中にユニークな人が含まれている可能性が高まるので)よりインサイトを引き出す可能性があるという考え方のような気がします。
前述したとおり、アウトプット等に関するクオリティに関しては、日本で調査をしている我々の感覚からするとかなり「ゆるい」ような気がしました。「ちっちゃいことは気にするな。それよりもっと大事なこと(インサイト発見)に注力しようよ。そのためには量が大事」といった感覚が強いように思いました。
ちなみに、私がこれまでアメリカ人と、仕事をしてきた経験からすると、これはCommunispace社、特有の考え方というよりは、米国人の仕事に対する感覚にように思います。ただ、この感覚が上述のリーズナブルなコストが実現出来る秘訣ではないかとも思います。(実際、彼らと話したわけではないですが)彼らが、今の日本のMROCを含む調査を見たとすると、品質管理が過剰すぎる、それがコスト高につながり、MROCが売れないのだ・・・って言いだしそうな気がします。
ディスカッションがすべてではない。その価値はハイブリッド調査にある
この調査では、掲示板を使ったディスカッションに加えて、日記調査とビデオギャラリーが実施されたのはこれまで述べてきた通りです。
正直、ディスカッションからのアウトプットは、やや期待外れであった一方で、日記調査とビデオギャラリーのアウトプットは非常に有意義だったと思っています。
個人的な印象で恐縮ですが、リサーチユーザーからは日本ではMROC=ディスカッションと認識されてしまっているのではないかという気がします。それで、掲示板グルインと何が違うんだ・・・みたいな議論が出てくるような。これは、日本でMROCサービスを提供している会社の売り方がそうなってしまっているからではないでしょうか。
多くの会社のMROCサービスの紹介サイトを見るとディスカッションの説明には多くが割かれていますが、日記、ビデオ、定量調査が出来る・・・みたいなことは、おまけ程度にしか取り扱われていないような気がします。しかしながら、私はCmmunispace社とのプロジェクトを経験して、MROCの醍醐味は、ディスカッションだけではなく、様々な手法を組み合わせることにあるのだと感じました。日本でも、もっとそういう提案があればよいのにと思うのですが、そうすると、さらに費用が高くなってしまうので、難しいのでしょうか・・・(弊社はMROCに本格的に取り組んでいるわけではないので、MROCに取り組まれている皆様、外野からの戯言で、すいません)
MROC⇒インサイト?
Commnispace社と仕事をしてみて、彼/彼女たちはインサイトという言葉を頻繁に使っていました。メールのやり取りや企画書や報告書にはCLEAR INSIGHTというワードが頻繁に登場します。こちら的には、「この程度で?」みたいに疑問に思うことは多々ありましたが(笑)、インサイトを提供しようとする姿勢・態度は素晴らしいと思いました。
我が国のMROCサービスを提供している多くの会社のホームページには、「MROCを実施すると今までに得られなかったインサイトが得られる」みたいなことが書いてあります。今、我が国でもMROCが注目されているのは、今までのグルインやデプスで得られなかったインサイトが得られるという期待がとても大きいからだと思います。
ただ、このMROCへの期待はMROC大御所である、このCommnispace社が、インサイトという言葉を多用しているから、そうなってしまったのではないかと思ったりしています(一度、Communispace社のホームページをご覧ください。インサイトという言葉が溢れています)。
しかしながら、私たちはMROCをすれば自動的にインサイトが出てくるみたいな短絡的な考え方は改める必要があると思います。Communispace社が、数多くの会社にインサイトを提供し、米国で急成長できているのは、彼らがMROCをやっているからではなく、この会社がインサイトの探求に熱心に取り組んでいるからだと思います。もちろん、MROC(彼らの言い方ではAccess to Community)は、その手段ではあります。でも、彼らのインサイトへの探求への企業姿勢がなければ、決して彼らのMROC事業は成功しなかったのではないかと考えています。
以上が、私のCommnuspace社のMROC体験記となります。最初に書かせていただいたように。私はMROCに関しては、それほど詳しいわけではなく、実施経験もほとんどありません。もしかしてMROCに取り組んでいる皆様からすると、的外れなことを書いたかもしれませんが、少しでも、皆様の参考になればと思って今回は書いてみました。